2-13
ヤツに料理を食べさせるのではなく、ナナリーに『美味しい』と言ってもらう。
それがルルーシュをギャフンと言わせる唯一の方法だとあたしは考えた。
「おい、なんだこれは」
あたし作の甘いものにルルーシュは顔を引きつらせた。
「なによその顔。
見て分からないモン作った覚えはないからね」
「何を作ったんですか?
甘い匂いがするから………お菓子?」
「ビンゴ!
みんなで食べようと思ってプリンを作ったんだ」
C.C.のリクエストであたしが作れる甘いもので、なおかつナナリーも喜んでくれそうなもの。
それがプリンだった。
「プリンですか?」
パァッとナナリーの顔が輝いた。
「よかった。
その様子じゃ好きみたいだね。
ハイ、スプーン。
一緒に食べよう」
「はいっ」
笑顔で頷いたナナリーにスプーンを渡す。
受け取って、彼女は手探りでプリンをすくって口に運んだ。
「ふわっ」
ナナリーが吐息のような驚きの声を上げた。
「どうしたナナリー?」
彼女の異変に一番に反応したルルーシュは、次に『なに入れやがったんだお前は』的にあたしを睨んだ。
「お兄さま!
これ、すっごくおいしいですっ」
ナナリーが見せた輝く笑顔に、ルルーシュの険しい表情が揺らいだ。
「ホントだ!!
すごいよ空!
お店に売ってるのより美味しい!!」
ナナリーに続き、いつの間にかスザクもプリンを食べていた。
スザクもナナリーも嘘はつかない。
それを知っているため、ルルーシュは驚愕に目を見開かせた。
「ありがとう。
美味しいって言ってもらえて嬉しいなぁ。
――――で。
ルルーシュは食べないの?」
プライドの高さゆえに食べるつもりはなくても、スザクとナナリーの『食べないの?』的な空気が耐えられなくなったらしい。
ルルーシュは屈辱だと言いたげにスプーンを握りしめ、カラメルがかかったプリンを口にした。
「どう?」
まさか食べてもらえるとは思わなくてワクワクしながら聞いてみる。
仏頂面で無言を貫いたルルーシュは、あたし作のプリンをちゃんと完食してくれた。
感想は無いが食べてくれるだけで十分だった。
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