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1-4
サラサラの黒い髪と紫色の瞳。
高い背と、男か疑いたくなるぐらいに細い体。
そして、爽やかな微笑を浮かべるルルーシュの瞳は寒気がしそうなほど冷めていた。
反射的に数歩後ずさる。
肩に置かれたままのルルーシュの手から逃げたかったからだ。

「う、ううん。
探してない…!」

ルルーシュに向けて抱いたのは恐怖。
後ずさりしたが、ルルーシュは一気に距離を詰めてくる。
締め付けるような握力で腕を掴まれた。

「お前は、俺が何者か知っているな」

先ほどの爽やかさは微塵も感じさせない、ゼロを思わせる低い声。

「し、知らない!!」

殺されるかと思って即答すれば、殺気をこめてルルーシュが囁いてきた。

「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと、お前は確かにそう言ったよな。
知らないとシラをきるなら、洗いざらい吐いてもらうまでだ」

ルルーシュの片目が緋色に染まり、鳥を思わせる紅蓮色の紋様が姿を見せる。
ギアスをかけられそうになったその時――――

「ルルーシュく〜ん?
そんなトコでな〜にをしようとしてるのかしら〜?」

思いもしなかった人物が―――ミレイ・アッシュフォードが声をかけてきた。

「か、会長?!!」
「こんな白昼堂々、廊下で女の子を襲おうとしてるなんて。
ルルーシュくんもやっぱり男だったのね〜」

軽い口調だが、声音には軽蔑の色があった。
不意打ちだったらしく、動揺したのかルルーシュの瞳が元の色に戻る。
彼女へと向き直ったルルーシュに生まれた隙をあたしは見逃さなかった。
廊下を蹴り、進むままに全力疾走。
こっちも命がかかってるから、廊下を歩く女生徒達の不審がる視線なんて気にしていられない。
ルルーシュから距離をぐんぐん離していく。

「その女を捕らえろ!
俺がいいと言うまで絶対に逃がすな!!」

ルルーシュの怒鳴り声が後ろから。
どんな言い訳をしてミレイから解放されたんだろう?
すぐ追いかけてきたルルーシュに、ギアスを使ったんだな―――と頭のすみで冷静に考える。
問題はそのギアスの内容だ。
あたしは絶対遵守のギアスルールに泣きたくなった。





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