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1-3
夢から現実へ。

足場が確かなものに変わり、指先から体全体の感覚が戻ってくる。

まぶたを開ければ、そこは初めて見る豪奢な造りの廊下だった。

「………どこよここ?」

眠る前に授業を受けていた教室じゃないのは確かだろう。

頬をつねる。
走るちょっとした痛みに今が夢じゃないことを知った。

「………っていうかちょっと待ってよ」

ルルーシュのお母さんに息子を助けてくれと頼まれ、
助けるよって答えて、
目が覚めたら見知らぬ廊下にいて、
よくよく見ればアッシュフォード学園の廊下に似ていて――――ということは?

もしかして、これってトリップ?

「やったー!!
マリアンヌさんありがとう!!」

…………ってちょっと待って。
あたしが勝手に決めつけてるだけで、マリアンヌさんの声とは限らないんじゃないの?
マリアンヌさんの声聞いたことないし。

「んー…。
…でも、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだし…」

それに『あの子』って言った。
本名を知ってて、なおかつ『あの子』なんて言い方できるの、母親であるマリアンヌさんだけじゃないだろうか。
本名だったのはランペルージっていう偽姓を知らないからで。

そしてなによりあたしの中には『あの声の主はマリアンヌさん』っていう不思議な確信があった。
けど、問題はここから。

息子を助けてほしいと頼まれたが、あたしは何をすればいいんだろう?
『自分の出来る精一杯でルルーシュを助ける』とは言ったものの、何をすればいいかなんて見当もついてない。
そもそもどうやってルルーシュに接触すればいいのやら。
普通に話しかけに行ったらいいのだろうか。
それ以前に“あの”ルルーシュがアッシュフォード学園の生徒でもないあたしの話を聞いてくれるのだろうか…。
いや、確実聞かないだろう。
怪しまれて敵意を持たれるのが関の山だ。
ルルーシュ警戒心強そうだし。
いっそのこと、接触はせずに陰から助けるとか?
いや、ルルーシュなら絶対気づく。

どうすればいいか分からなくて途方に暮れていた時、肩にポンと手を置かれた。
心臓が驚きで縮み、体がビクッと弾む。
バッと振り返れば男の人が――――いや、『ルルーシュ』がそこにいた。

「キミ、もしかして誰か探してる?」



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