C a l o r
01
*
「テニスができればいいかな」
そう漏れた声はこの空間に早々に溶けて行ってしまった。
目の前に広がるのは、上も下も右も左もない場所。ただただ広がるのは白だけ。
そんな空間に何も求める物などないのに、そっと求めてしまった。
テニスができて、この記憶があればそれで十分だ。
幸せはもらうものではないし、不幸を要らないというのは些か違うような気がする。
テニスの才は特になかった。
シングルスの全国一位にここ二年いたが、それでもすごい人間なんかではなかった。
人並みの努力だけだ。
でも次生きるなら、寿命。
今度こそ長いといいな。
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なんて、思っていた時期が俺にもありました。
「リョーキ、どうかしたの?」
「ううん、何でもないよ!」
涼宮 龍、気が付いたら転生していました。
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