蒼穹の雫
ouverture
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いつもの道で思っていたことは確かだった。
“この場所にいたくない”
いつの間にか不思議とそう思うようになった。
別にこの世界が突然大嫌いになったわけでもなかった。
この世界に特別大きな恨みができたわけでもなかった。
死を考え悲観しすぎてしまうような、悲しむことがあったわけでもない。
単に、この世界に “ 飽 き た ” んだ。
殺伐としているわけでも、命の危機が迫っているわけでもない。
ただ、冷めてしまったんだ。
“ 生 き る こ と ” に。
嫌われて、クス、クスと聞こえる笑い声。
聞こえるもの全てが、陰口に聞こえてしまう。
死んだ――無感情になり間接的に殺された――、私。
可愛くない――感情を出すことが出来なくなった――、僕。
情を写せなくなった、瞳。
それが、 “ 私 ” の全てだ。
別にそんなことが今更、悲しくなったわけじゃない。
――じゃあなぜか?
それは、そう感じていることにさえ “ 飽 き た ” のだ。
そして――
ただ、何もかもが分からなくなったのだ――
――そしてこれは、
始まりの事だった――
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