短編集
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その為、一時期、皇帝はフィラムを別の意味で愛しているのではないか?と、憶測された事もあった。
だが。そんな感情からでないのは、アリファエルも、フィラムも、本人である皇帝も、分かっていた。
ただ本心から、皇帝はフィラムが可愛くて仕方ないのだ。
もし、アリファエルとフィラムが喧嘩をしても、皇帝はフィラムの側につくだろう。
それ程までに、皇帝はフィラムを愛している。
それは、一重に親となった事による愛情からだ。
皇帝が今日、フィラムを昼食に誘ったのには訳があった。
「フィラムよ。例の件は進んでいるのか?」
「えぇ、順調です。ありがとうございました…お父様が手伝って下さらなかったら、出来なかった」
「なに、私は場所を提供しただけだ…だが、あれも相当、不満に思っているようだな」
今回。
フィラムが、朝が弱いのを押してまで、アリファエルより、早く起きているのには訳があった。
朝早くから、フィラムが向かっている場所。
それは、離宮。
それも、皇帝が所有し、皇帝の許しなくば、誰も、立ち入る事の許されない離宮。
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