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短編集
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皇帝は、フィラムが可愛くて仕方がないといった表情を浮かべていた。

その表情は、始めて見せる皇帝の素顔である。


フィラムが、アリファエルの妻となってから、いやそれ以前に、フィラムの存在を知った時から、皇帝はフィラムを大事に扱ってきた。


それこそ、子供の皇太子に対するよりも、手厚く接しているといえた。


しかし、フィラムをあまり、構いすぎると、息子の機嫌を損ねると、皇帝にも、分かっていた。

だが、どうしても構う事を止められない皇帝だった。


この場合。

アリファエルが機嫌を損ねるというのは、皇帝がフィラムを大事にするからではなく、皇帝がフィラムに近づきすぎるからである。









皇帝のフィラムに対する扱いは破格なモノ。

そして、なによりフィラムの皇帝を呼ぶ時の呼び方は。


「どうだ?美味しいか?」
「はい。お父様」

そうお父様だ。


この場合。

皇帝は、義理の父になる訳だが、お義父様ではなく、お父様なのは、皇帝が義理でなく真の親子となるのだからと、言って譲らなかったからだ。


そして、もう一つ。



「これ、付いておるぞ」
「あっ、ありがとうございます」
わざわざ、フィラムの口元を手を伸ばして、拭いてやる皇帝。




そうその距離が問題。


本来、皇帝が誰かと食事をする際、向かい合って食べる場合も最低、二メートルは離れた位置に座るのが、決まりである。


だが、フィラムと食事をする際の距離は、一メートルと、離れていないのだ。


それこそ、今の様に顔に手が届く距離。


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