短編集
2
軽く、顔に降り懸かるキスの雨に、しばらくすると、フィラムも目を覚ます。
「おはよ…」
「あぁ、よく寝れたか?」
「うん…」
その間も、止む事なく降り懸かるキス。
フィラムは、擽ったそうにするが、全く止める気のないアリファエル。
こうして、ベットの中でのじゃれあいは、アリファエルの気の済むまで続けられ、朝が始まり、アリファエルの機嫌は、朝から上々になるというのが、いつも事だったのだが。
ここ最近。
朝が弱い筈のフィラムは、アリファエルが起きるより先に起きて、何処かに行ってしまう。
その為、ここ最近のアリファエルの朝の機嫌は最悪最低。
もう、不機嫌なオーラ全開なのである。
アリファエルが、不機嫌だと一番、困るのは側近のアーシェマ。
なにせ、午前中は、不機嫌なままなのだ。
朝から晩まで、付き従うアーシェマは、いつもなら、流すだろう些細なミスも、ここ最近は手厳しく、指摘された上に叱責を受け、執務室には、険悪な空気が流れるしと、散々な目にあってしまう。
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