[携帯モード] [URL送信]

短編集
5
気丈に振る舞う幼子。

しかし、そんなアリファエルの姿を見る度に、皇帝は痛ましいと感じ、自分の不甲斐なさを痛感した。



幼いアリファエルが感じている不安や恐れ。


それを痛いほどに感じ、理解していたのは、皇帝だけだった。







大国ガーメイルの偉大なる皇帝。


しかし、彼の半生は、決して、幸せなものではなかった。



彼は、愛なき両親の下に生まれた。

それだけなら、どこにでもある話。

皇族として、権力を持つ者として、政略結婚は普通の事。

だが、皇帝の場合は、少し違っていた。
息子を疎む父と息子に関心のない母。


不遇の皇子。

そう陰口を言われてきた。


そして、幼い頃から大人達の醜聞を目の当たりにして生き、人生に疲れていた。






フィアやバイスといった気心の知れた人間達と出会えなかったら、今の皇帝は、存在していなかったろう。






だからこそ、最近の皇帝はアリファエルにも、友をと感じるようになっていた。






だが、友というものは、用意されて出来るものではないと、皇帝は知っていた。



それに、あの皇妃の事もある。


到底、国内では、アリファエルの友は見つけられないだろ。


そこで、皇帝はある事を思った。

国外ならば、皇妃も簡単には、手を出しにくい筈だと。


そして、国外の中でも、治安が安定しており、気候も安定しているリーフへの訪問が決定した。




勿論、決まったからといって、すぐに訪問した訳ではなく、それの決定から一年後。


アリファエルは、リーフへと旅立って行った。



[*前へ]

6/6ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!