短編集
4
そして、絵を見た時。
アリファエルは、人知れず、絶望の底に落とされた。
一度だって、自分は優しく微笑む父を見た事はない。
大事にはされている。
だが、それは何の為?。
次第に、自分の中で、膨れ上がる大きな不安。
自分という存在に、アリファエルは、苦悩した。
だからこそ、アリファエルは父に聞いたのだ。
あの絵の人物は誰なのか?。
何故、側に置かないのか?。
その結果。
アリファエルは、父の凄さを目の当たりにした。
父は、皇帝という存在であり続けている。
自分という存在は、皇帝にとっては、必要不可欠な存在だろう。
そして、あの時の事は、幼いアリファエルの心に、本人も知らない小さな傷が付いた瞬間だった。
傍目には、アリファエルは栄華を約束された立場にいる。
だが、実際は誰よりも孤独で、光りすら当たらない闇を歩いていた。
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