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短編集
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愛を知らなかった子供。

愛を受けて尚、孤独だった子供。

これは……。


そんな二人が出会うより少し前の話。












絶え間無く、ヒステリックに繰り言を叫ぶ母。


そんな母に、アリファエルは、うんざりとしていた。


少し前までは、自分に無関心だったハズ。




なのに、急に口煩くなったきて、正直に言うと、鬱陶しいし、煩わしい。




それに、アリファエルは、母が付ける匂いのキツイ香水やら、焚きしめる香やらも、好きではなかったし、身を華美に飾り立てるその様も、あまり好きではなかった。



一様、それなりの美貌の持ち主である為、華美な装いが似合わない。

なんて、事はない。



でも、この人には、まったく自分が母親だという意識がないのだろうと、アリファエルは呆れるばかり。

この人が、自分を抱きしめてくれた事なんて、一度も無い。


聞いた話では、自身の体のラインが崩れるのを厭うて、赤子だった自分に、一度として母乳を与えなかったという。



母性。


母は、それを何処かに、捨てた人。



この人の根底にあるのは、もはや妄執だけだと、アリファエルは思った。






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