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小説「宵闇の皇子様と明星の皇子様」
男装の姫の過去
ウルリカが男装している最大の理由。

それは、母親のある願いが原因である。

ウルリカの母マリーベルは、王妃という立場にある。


彼女は、昔から生むなら、男の子が良いと、そう思って、生きてきた。


しかし、男の子を望むのは、栄華を得る為ではなかった。

男の子ならば、自分の手元に、ずっと居てくれる。

だが、女の子は、成長してしまえば、誰かの元に行ってしまう。

という思いからだった。

だが、マリーベルが最初に生んだのは、女の子であるウルリカだった。


生まれた我が子が可愛くないわけはない。
しかし、女の子であった事に、マリーベルは、落胆の色を隠せなかった。


そして、マリーベルは、次こそ!と、意気込んだ。



だが、マリーベルは、医者から言われた。


次の妊娠は難しいと。


それを聞いたマリーベルは、人目も気にせずに、大泣きした。

そんなマリーベルを見た周りは、世継ぎを生めないせいで、王妃は泣いたのだと、誤解した。


しかし、マリーベルは、そんな理由で泣いたのではない。


だから、彼女はある願いを夫である王へと口にした。


それこそが、生まれたばかりのウルリカを男として扱うというものだった。

最初、王はその願いに、難色を示した。

だが、マリーベルから。

「あなたには、娘ならば、まだ居るではありませんか、ですが私には、この子しかいません。ならば、私の好きなように育ててはいけませんか?」
と、言われ。

確かに、側室の二人が、マリーベルとは、3日違いで、娘を一人づつ生んでいた。

ならば、一人ぐらい毛色の変わった娘が居ても、構わないだろうと、そう思い直し、マリーベルの好きにさせる事にした。


勿論、男の様に育てても、王位継承権までは認めないと、はっきり伝えた上である。


こうして、ウルリカは、男装の姫君となったのである。





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あきゅろす。
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