小説「宵闇の皇子様と明星の皇子様」
3
「ジークフリード。お前は、本当にウルリカ姫を皇太子妃に迎えたいのか?」
すると、ジークフリードは。
「はい。私の正室となれるのは、ウルリカ姫以外には、あり得ません」
と、答えた。
揺るぎない意志が、そこにはあった。
父親として、そんな息子の決意にも似た想いをくみ取ったガイゼルは、溜め息を一つ付くと。
「好きにすると良い。お前の伴侶だ、お前が選んだのなら、私は反対はせん」
そう言った。
すると、ジークフリードは、嬉しそうに。
「ありがとうございます!では、親書をガウザー王国に送っていただけるのですね」
と、言った。
そんなジークフリードの姿に、ガイゼルは驚いた。
滅多に、笑わない皇子として有名なジークフリード。
そのジークフリードが、笑みを浮かべていた。
よほど、嬉しいのだなと、ガイゼルは思った。
しかし、親書を送るのは良いが、相手が内容を見て、それを了解するかどうかは、分からない。
だからこそ、ガイゼルは。
「ジークフリード。親書は送るが、相手からの返事までは、私には分からんぞ」
と、言った。
すると、ジークフリードは。
「必ず、了承して下さいますよ」
と、自信ありげに言い切った。
その姿に、ガイゼルは、思わずマリエッタを重ねた。
(やはり、ジークフリードは、私よりも、マリエッタに似ているのだな…)
少しだけ、妙な気分になってくるガイゼルだった。
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