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小説「宵闇の皇子様と明星の皇子様」
3
部屋に帰ってきたもののウルリカは、何もやる気が起きなかった。

ぼんやりと、窓の外へと目を向ける。




そして、庭の花を見ている内に、ウルリカは考える。




生涯独身だろうと、そう思ってきた自分が結婚する。



それも、相手は大国タイラントの皇太子。


これほどの良縁は他にはないだろう。


噂では、たいそうな美丈夫に成長しているらしいが、ウルリカの記憶にある皇太子ジークフリードといえば、幼児の姿。


今、どの様に成長しているかなど、想像できるわけもない。






不安が胸にわき上がる。




女としての自分に、ウルリカは全く自信がない。




その人生の大半を男装し、女を捨てて生きてきた。





皇太子ジークフリードが、自分に何を期待しているのか、それが分からない。



分からないからこそ、不安になる。



もし、自分が皇太子の期待に応える事が出来なかったら、それによって、必要とされなくなったら、そう考えるだけで、ウルリカは震えが止まらなくなった。





ウルリカは、他者からの賛美に興味はない。




だが、存在を否定される。

それには、恐怖すら抱いている。




強くみえて、ウルリカは少しだけ弱い。


本当の彼女は、凄く傷つきやすい。

だが、誰も彼女の本来の姿を知らない。



ウルリカは、他者に対し、強い自分を演じている。




男装を強いられた事で、ウルリカは自分を偽らなければならなくなった。




だが、今回のこの話で、ウルリカは転機を迎える事となる。





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あきゅろす。
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