小説「宵闇の皇子様と明星の皇子様」
驚愕の知らせと姫君の心配事。
その知らせを聞いた瞬間、ウルリカは息を飲んだ。
ありえない!?。
と、そう叫びそうになった。
だが、幾ら嘘だと思おうと、そこにはしっかり書かれていた。
自分を妻に望むという内容が書かれた紙。
ウルリカは、自分みたいな年増を妻にしたいなんて、皇太子は、何を考えているのか?と、思った。
そして、とりあえず、ウルリカは事の真意を父である国王に問う事にした。
しかし、父の執務室へ行くと、そこには思わぬ先客が居た。
「何故、姉様があの皇子に嫁がねば成りませんの!?父上、答えて下さい!!」
「だ、だからだな…そ、それは…」
「父上。だからでは、分かりませぬ!!」
可愛らしい顔を曇らせ、父を問いつめている二人の妹と、そんな妹達にタジタジな父。
一瞬、ウルリカは、気が遠くなった。
だが、気を取り直し、声を掛ける。
父にではなく、父を問いつめている妹達へと。
「エルレシア、アリス。いい加減にしなさい。父上が困っておいでだわ」
すると、エルレシアは、ウルリカに向き直り言った。
「姉様。これは大事なことです!ちゃんと、話を聞かねばなりませぬ!!」
興奮するエルレシア。
続けて、アリスも。
「姉上。私たちにも知る権利があるはずです」
と、言った。
全く引く気のない妹たちに、ウルリカは
。
「エルレシア、アリス。今回の事は、貴方達が気にする必要はありません。早く、出て行きなさい」
そう強く言った。
すると、エルレシアとアリスは、途端にうろたえる。
だが、ウルリカは更に、強く言った。
「二人とも、二度は言いませんよ」
すると、シュンとして、エルレシアとアリスは執務室から、出て行った。
そんな娘二人の姿に、父が。
「ウルリカ。何も、あんな言い方をせんでも良かろう。二人はお前を心配して来たのだぞ」
と、ウルリカを責めるように言った。
しかし、そんな父に慣れているのか、ウルリカは、気にせずに言う。
「父上。甘やすのは構いませんが、統制が取れなくなりますよ?先ほどの様に…ね」
毅然としたその態度に、父は可愛くない娘だと、内心で思った。
しかし、ウルリカも、困った父上だなと内心で思っていた。
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