小説「宵闇の皇子様と明星の皇子様」
2
少年と少女が手を組んだ日から、物語は急激に加速する。
互いが望むのは、覇道を歩む事。
そして、時が経ち。
勇猛なる金獅子は皇帝となり、覇帝と呼ばれ、清廉なる宵闇の聖女は宵闇の皇妃と呼ばれるに至る。
しかし、時が経っても、二人の間には、愛情という名の感情は芽生えない。
何故なら、二人の間には、しっかりと線引きがされている。
マリエッタが、ガイゼルへ望むは共に歩む事。
ガイゼルが、マリエッタへ望むのも共に歩む事。
二人は、共に歩むに愛情は関係ないと考えている。
愛は虚ろ。
恋は幻想。
明確な利害の一致で繋がる二人の間には、そんな感情は入り込む隙間もない。
ガイゼルはマリエッタへと愛は囁けない。
そして、マリエッタも、自分へガイゼルが愛を囁く事を望まない。
ガイゼルが愛を囁くのは、側室にだけ。
しかし、愛を囁きはしても、必ず公の場にはマリエッタだけを伴った。
それには、マリエッタへガイゼルが確約したある事が関係していた。
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