小説「宵闇の皇子様と明星の皇子様」
お互いに
10歳で、初めて会った時。
ガイゼルは、マリエッタをこの女なら、共に歩むに相応しいと、感じた。
マリエッタも、この男なら歩めると、感じた。
柔らかな笑みの裏に、隠された鋭利な色。
彼女なら、必要とあらば、どんなに自らが血に塗れ、汚れようと構わないだろうと、ガイゼルには、理解出来た。
彼なら例え、血に濡れた自分でも、臆したりしないだろうと、マリエッタは思った。
男と同じ目線で物を見る女。
同じ目線で物を見る様な女を疎まぬ男。
まさに、最高の女。
まさに、最高の男。
互いに、そう互いを評価した。
強くしなやかな女。
マリエッタの事をそうガイゼルは思った。
もし、マリエッタが男として生まれていたならば、自分では、到底太刀打ち出来ないだろう。
だが、幸運にも、マリエッタは女として生まれてきた。
だからこそ、自分の敵ではなく、最強の味方となってくれた。
その事に、ガイゼルは神へ、感謝した。
マリエッタは、男に生まれたかった。
だが、女として生を受けた以上、望みを叶える術は、ただ一つ。
幸いなことに、同年代には、共に夢を叶えるに足るガイゼルがいた。
マリエッタもまた、その事で、神に感謝した。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!