小説「宵闇の皇子様と明星の皇子様」
1
「ねぇ、ガイ。私達の利害は、一致してるわよね?だったらどうかしら、私と手を組んでみない?」
「あぁ…いいぜ」
それは、幼き頃。
二人の子供が交わし合った盟約。
それは、足りないものを補い合う為の盟約。
少年は、自身の力不足を自覚している為。
少女は、自身一人では歩めぬ道を歩む為。
互いの持てる力で、互いを補い合う事にした。
そして、何時しか。
少年と少女は。
勇猛なる金獅子皇子ガイゼル。
清廉なる宵闇の王女マリエッタ。
人々に、そう呼ばれる存在になっていた。
愛情という名の感情が一切、絡まぬ二人。
あるのは、利害のみ。
互いに互いを利用し。
共に道を歩む間柄。
そして、必然的に、二人は婚姻を結ぶ。
目的の為ならば、結婚すら彼等は利用する。
何故なら姻戚関係は、力を増すには、一番有効な手段。
比類なき力を誇る大国タイラントと交易で莫大な富を生み出すワース王国。
武と富。
この二つが強く結び付く時、莫大な力となる。
それは、二人の望む未来を引き寄せる。
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