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BL小説「虜」
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一方、この時のアリファエルは、セネガルが自分に対して、そんな事を思っているなんて知りもしなかった。

それよりも、別の事を考えていた。



(父上。貴方は、とうとう決められたのですね)




どこかで、予感はしていた。


幾ら、自分が皇太子という立場にあるとはいえ、この国へと、バイスが同行した時点で、どこかおかしかったのだ。


普段、皇太子である自分の警護は今、目の前にいるセネガルが所属する第二師団が主に担当している。


なのに、出立の間際になって、同行者が第二師団団長ではなく、バイスに変わっていた。



その時は、妙な事もあるものだなと、そんな程度に、思っていた。

だが、今この時になって、アリファエルは気付かされる。




バイスは、ガーメイル帝国第一師団団長という立場にあるが、それとは別に四大名家が一つガウディース家当主という顔も持つ。


バイスという男はガーメイル皇帝の‘剣’。


(母上。貴女という方は些か、やり過ぎたのです)

少しの憐憫を持って、アリファエルは、そう思った。


妄執に取り付かれし、憐れな女。



いつからか、アリファエルは、産みの母をそう思うようになっていた。







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あきゅろす。
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