BL小説「虜」
3
その考えが分かったのだろう。
「アレに、全ての原因はある。……だが…そなたはアレに、新たな子を作らせる気を起こせなかった」
と、ナーサディナは言い。
更に。
「良いか?身を慎む事だ。本来、そなたの皇妃としての役目は終わったのだからな」
そう言うと、部屋から出て行った。
残されたアデリアーデは、屈辱と沸き上がる怒りにより、身を震わせた。
「…許さない…」
ありったけの憎悪に満ちた声音で、アデリアーデは更に、恨み言を口にした。
「まるで、私だけが、悪者の様な口ぶり…許しませんわよ…」
怒りに狂ってゆく、哀れな女が、そこに居た。
愛を諦められず、未練の果てに、狂ってゆく。
哀れな女。
どうなるのか、それは人には分からない。
ただ……。
星だけが、哀れな女を見ている。
……星は、冷たい光りを放って、女を見下ろす…。
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