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BL小説「虜」
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「それに……アデリアーデ。そなたは私よりも、自分の方が身分が上だと、思っている様だが、それは違うぞ?。何故なら、私は降嫁はしたが、この国の継承権を今だ手放してはおらんからな」
「なっ!」


通常、皇族や王族の者が降嫁する場合、持っている継承権を手放すのは、通例であり、継承権を持ったまま、嫁ぐ事は後々、様々な火種を生む。



だが、ナーサディナの場合は、放棄できなかった。

「私が嫁いだ頃は、世継ぎが居なかったからな……。万が一を恐れた大臣達が、私の継承権をそのままにしたのさ…勿論、アレに世継ぎが産まれたら、放棄する手筈だった…」


その言葉に、すかさず、アデリアーデが反論した。

「世継ぎなら、アリファエルがおりますわ!」
なのに何故、今だに貴女が継承権を持っている!!と、言外に詰め寄るアデリアーデ。

だが、ナーサディナは。


「確かに、アリファエルという立派な世継ぎは居る。だが、子供が一人しか居ないのは些か、問題なのだと言われてな…大臣達から、アリファエルが即位するまでは、保持していてくれと嘆願された」

そう切り替えした。


その言葉には言外に、新たな子供を作れないからだと、含まれていた。






ーギリッー。

アデリアーデは、血が滲む程に、唇を噛み締めた。


新たな子供が産まれないのは…。

作れないのは、自分だけの問題ではない。



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