BL小説「虜」
恋?愛?
(しかし、毎晩会ってんのに、よく飽きないもんだなぁ…)
ハービィは、フィラムを尾行する内に、そう思っていた。
(まぁ俺には、分かんねぇ、感情だしなぁ……誰かを思う気持ちってヤツはさ…)
今年18歳を迎えるハービィだったが、彼は今だに、初恋というモノ一つ経験していない。
それには、育った環境も、少なからず関係しているのだろう。
面倒見が良く、誰からも好かれるハービィ。
容姿だって、悪くないのだが、とにかくその手の事には、疎い。
とてつもなく、疎い。
だから、遠回しな言い方で、好意を向けられても、全く気付かない。
だからといって、ストレートに想いを告げられた所で、違う風に受け取ってしまう。
その為、何時しか「難攻不落のハービィ」と、影で呼ばれ出し、果ては誰がハービィを落とすかという賭けまである。
だが、誰もハービィを口説ける相手はいない。
ハービィにとって、恋も愛も、異物。
あまり理解が出来ないのだ。
だからこそ、ハービィは幼いフィラムの今回の行動に、少し興味があった。
フィラムの‘恋’。
それを見れば、何かが分かる気がして。
[*前へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!