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BL小説「虜」
出会いに向けて
それは突然に起きた出来事。









フィラムが下働きとして城で働きはじめ一年が経過したある日の事。




その日は城中が騒がしい雰囲気に包まれていた。


いや、大半の者が妙に浮足立っていたというべきだろう。


特に、階級に関係なく、容姿に自信がある者達は、何時にも増して、気合いを入れて、己を飾り立てていた。







「ねぇ、なにかあるのかな?みんな、なんか騒がしいけど…ハービィはなにか聞いてる?」


下働き仲間で、フィラムと十歳ほど、歳の離れた低年齢の下働き達の兄貴分的存在のハービィへ聞いた。

すると、ハービィは呆れた顔で言う。


「フィラム。あのなぁ…お前、今朝のサディ様からの話、聞いてなかったのか?」


だが、ハービィは内心で、どんな答えが返って来るか分かっていた。

すると、やはりというべきか、少しだけ気まずそうにして、フィラムが言う。


「えへへ…なんだっけ…?僕、半分は寝てたから、聞いてなかった」

その直後。

バッシ!!。

という鈍い音が辺りに、響いた。



勿論、音の発生源は、フィラムの頭。



ハービィは若干、強めに頭を叩いた。





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