BL小説「虜」
気付く者
ハービィは、最近ある事が気になっていた。
それは可愛い弟分であるフィラムの事。
その表情には、前の様に明るい笑顔が戻っていたので、抱えていた悩みは解決したのだろうと、思ったのだが、どうも最近のフィラムは、どこかおかしかった。
ある時は、急にソワソワと落ち着きを無くし、また、ある時は急に暗くなったり、明るくなったりと、感情の起伏が激しくなっていた。
そして、ハービィは、そんなフィラムを見る内に、ある考えが頭を過ぎる様になってきた。
だが、フィラムには、その手の事は、まだ早いのではないか?と、疑問に思う自分も確かに居た。
ハービィにとって、城で働く年下の者達は皆、庇護の対象。
ましてや、フィラムは七歳。
後少しで、八歳になるとはいえ、まだまだ子供。
だが、フィラムのあの姿はまるで、誰かに‘恋’するそれであった。
有り得ないだろうと、思いながらも、自分のこの手の感覚が、今まで一度も、外れた事がないのをハービィは、知っていた。
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