BL小説「虜」
2
この一年。
ハービィは、フィラムを心身ともに守ってきた。
それこそ、ありとあらゆる魔の手から。
本人は全く自覚していないが、フィラムは将来、美人になるだろうと予想が出来るだけの容姿をしている。
ハービィを始めとして、、年配者の下働き達は最初に、フィラムを見た時。
(これは……災いの元になりそうな子供だなぁ……)
と、そう一様に感じていた。
だからだろうか、フィラムの保護者を自負するハービィは、フィラムが誰に‘恋’をしていると、考えただけで、自分の中に、二つの反する感情がぶつかり合うのを感じていた。
もし、本当にフィラムが、誰かに‘恋’をしているなら、自分は応援するべきなのだろうと、感じる自分。
孤児院で育ってきたハービィにとって、血の繋がらないフィラムも、守るべき弟という意識からか、いや、フィラムは、まだ子供だ!恋愛なんて、まだ早い!と、兄的な感情を抱く自分。
だが、結局はどちらの自分も、フィラムが幸せなら良いという結論を出した。
ハービィは、フィラムが可愛い。
あのクルクルと変わる表情は、見ていて楽しいものがあるし、あの子の幸せに笑った顔は、こちらまで幸せな気持ちにさせてくれると、ハービィは思っている。
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