BL小説「虜」
違和感
あの日から、3日が経過した。
バイスは、フィラムとの一件について何も知らないが、アリファエルに、小さな変化が訪れているのを感じ取っていた。
時折、窓の外を見遣る視線。
その視線に、少しの憂いが見えていた。
本人は、何時も通りのつもりでも、バイスには何かに悩んでいる様に見えた。
だが、こちらから何かを聞き出そうとしても、無駄だろう。
殿下は、陛下と同じで、国に関する重大な案件以外で、何かに悩まれたりすると、必ず熟考される。
そうなると、お一人で、考え尽くした後にしか、他人の意見や進言に、耳を傾けない。
よって今は、ただ見守るしかない。
そう思った。
(だが、あれは……。自分の勘違いでなければ現在、殿下が悩まれている事は……)
あればかりは、どんなに考えても、どうにかなる代物ではない。
…心…。
それは理性や理論。
知識だけで、どうにもならないモノ。
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