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BL小説「虜」
3
アリアは、これから息子と孫との楽しくも騒がしい生活が始まると、考えていた。




だが、カーツが赤子を連れ帰って来て、一週間が経った頃。




ある異変が起きた。





妊娠と出産で、疲労が蓄積した状況で、ガーメイルからアリアの居る村までの長旅をしたカーツの体は、万全ではなかったのだ。




軽い風邪から体調を崩し、そのまま風邪が肺炎になってしまった。




悪い事に、アリアの居る村は、医者の居ない村であった。




その為に、高熱をすぐには、下げる術がアリアには無った。




その後。


熱が三日間に渡り続き、四日目の朝に、カーツは静かに息を引き取った。



だが、息子の死を悲しむ暇など、アリアには無かった。




何せ、まだ赤子の孫は自らの母親が、死んだ事が分かる筈はなく、腹が減れば泣き、機嫌が良ければ笑った。




忙しなく、その表情を変える孫。



アリアの中に溢れ出た愛。


それからというものアリアは、フィラムを精一杯の思いを込めて育てた。



死の病に臥しても、アリアはフィラムの事を最後まで心配し、村人達にフィラムの事を頼んで、死んでいった。





だが、アリアが死んだ後。




フィラムの世話をしてくれる者は誰も居なかった。




何故なら、村人はフィラムの父親が誰とも知れぬ他国の者である事や、一般的な色合いの多い田舎にあっては、目立つ彩色を気にして深く関わりを持とうとしなかったからだ。





多少の食べ物の蓄えや、アリアが残した金銭はあったが、子供一人で生活は難しい。




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あきゅろす。
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