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BL小説「虜」
影で
元から、良好とは言い難かった皇帝と皇妃の仲。

その二人の関係に、決定的な亀裂を生んだのは、皇太子の教育に関する二人の方針の違い。


皇太子を民を導く、良き指導者として、教育したい皇帝と自分の意のままに動くように、教育したい皇妃。


立場上、表立って、二人が衝突する事はないのだが。

ここ最近は明らかな確執が生まれていた。

皇帝は、皇妃の目に余る行動に、頭を痛めていた。


そんな中、唯一の救いは、幼いながらも、皇太子に、しっかりとした自我があり、強い信念がある事だった。











「一体、皇妃は何がしたいのだろうな……」
皇帝が、そう呟くと、答える声が掛かる。

「陛下。皇妃様が何を考え、何を成したいか……私には、分かりません。ですが、この頃の皇妃様の行動は些か、問題かと存じます。決して、このままで、良い筈はありませぬ…」

黒一色の服を身に纏って、気難しい雰囲気を持った男。


皇帝は、その男を視界に入れて。
「やはり、そなたも、そう感じるか?」
と、問うた。

男は、短く。
「はい」


と、答える。


「そうか……」

皇帝は、視線を外へと向け。

「動くべき……なのだろうな……」
と、呟いた。





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