BL小説「虜」
2
でも、自分達は馴れ合ってはいけない。
幼いながらも、フィラムは理解していた。
自分の様な立場の人間は、高貴な身分の方と、関わってはいけないと。
アリファエルは、最も高貴な身分の方。
一介の下働きに過ぎない自分には、雲の上どころか、天の上の方。
そして、アリファエルも、そんなフィラムの考えを分かっていた。
自分の居る立場は、重責と、しがらみばかり。
今までは、それに何の苦痛も感じなかった。
だが、今は自分の立場が恨めしい。
何故なら、その立場が邪魔をして、初めて抱きしめた相手を苦しめているからだ。
スッと、アリファエルは手を放した。
途端、フィラムは走り出した。
こちらを一度も、見る事無く、立ち去るフィラム。
その姿をアリファエルは、静かに見送った。
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