BL小説「虜」
2
だが、フィラムは。
「な、なんで……ここに、二回も来た……んですか?……一回は、不可抗力ですけど……」
と、よそよそしく言った。
その言葉には、微妙な距離感が見えていた。
フィラムから、先程までの気安さが消えていた。
アリファエルが、顔を曝したことで、立場という壁が、二人の間に、線を引いた。
所詮、下働きの身分でしかないフィラムは、この状況に、居心地の悪さを感じた。
親近感。
そんなモノを軽々しく、抱いて良い相手じゃない。
本来なら、下働きの自分は、側にも寄れない相手なのだから。
だからこそ、フィラムは。
「フィラム……」
「放してください……貴方と、私は一緒に居ちゃいけないんです……」
「っ!!……」
視線を合わせず、業務的な口調で、そう言った。
悲しそうな顔を浮かべたアリファエルに、フィラムは、また泣きたくなった。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!