BL小説「虜」
2
王の疑問はすぐに解決した。
あの子供は、アリアの孫だった。
子供の名はフィラム。
死ぬ間際、アリアは村の司祭に、全てを話していた。
子供の片親は、アリアの末の子カーツ。
約7年前。
大国ガーメイルの都で、飾り職人として、働いていた筈の息子カーツが突然、母アリアの居る家へ帰って来た。
ただ帰って来た時、カーツは、その腕に小さな赤子を抱えていた。
その事実に驚いたアリアはカーツへ、聞いた。
「その子は…誰の子なの?まさか…お前の子なのかい?」
それにカーツは、ただ一言。
「私の子だよ」
と、答えた。
そんな息子に、アリアは更に聞いた。
「……お前…まさか、沙樹を飲んだのかい?」
その問いにカーツは、ただ静かに頷く。
すぐに、アリアはカーツの相手が比較的、高い身分の者だと、見当が付いた。
高い値の付く、沙樹を他国で手にする事が出来るのは、貴族階級の者達だけ。
突然、赤子を連れて、母親である自分の元に舞い戻った息子。
何か相手の元では、育てられない訳があるのだと、そうアリアは感じ取り、黙って孫を受け入れた。
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