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BL小説「虜」
現実
止まらない涙。

それを見るうちに、アリファエルは、考えるより先に、行動していた。

せっかく、愛称を名乗ったのに。

「もう泣くな……」


踏み越えるのを恐れていた筈なのに、アリファエルは茂みから出て、フィラムを抱きしめた。

「ぇっ?……っ!!」
その瞬間、雲が切れ、陰っていた月の光りが辺りを照らす。

その月明かりは、アリファエルとフィラム。

互いの顔を、鮮明に照らし出す。


そのせいで、フィラムは気づいてしまった。


いきなり、抱きしめられた事にも、驚いたが、もっと驚いたのは、自分を抱きしめている相手が、この国リーフに、滞在中の大国ガーメイルの皇太子だった事に。


アリファエルは今日、自分が普段の自分らしくない行動ばかりしていると、思った。


動揺して、涙の止まったフィラムを抱きしめたまま。

「本当の名は、アリファエル。だが、アリーという名も、確かに私の名前だ。元々、アリーというのは、私の父の母……私にとっての祖母に当たる方が私をそう呼んでくれた…」
と、アリファエルは言った。






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あきゅろす。
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