BL小説「虜」
4
「それまで、ばぁちゃんが居たからボク、寂しくなんて無かった…母さんは、ボクが赤ちゃんの時に死んじゃってるけど、父さんは生きてるか、死んでるか分からないけど、我慢できた…でも、それは、ばぁちゃんが居たから耐えられた事だった…でも、もう居ない…」
言葉の途中から、フィラムの目から、ボロボロと涙が流れ、頬と頬に置かれた互いの手を濡らした。
感情のままに、涙を流すフィラム。
その光景を見て、アリファエルは、自分の代わりに、フィラムが泣いてくれていると、感じた。
アリファエルは、泣きたくとも、容易に泣けない。
泣く事を周りは許してはくれない。
既に、泣き方も、忘れていた。
アリファエルは、不思議だった。
言葉を交わしたのは、今日が初めての相手に、感情を見せた自分。
普段の自分とは違った自分が、そこには居た。
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