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BL小説「虜」
3
「父…?果たして、父は私を本気で愛してくれているのだろうか…」

答えた声音には少しの憂いが滲んでいた。


「…私は怖い……」
「何が怖いの…?」
「父にとって、私は必要な存在といえる。でも、もし…私が必要なくなったら?そしたら…一体、どうなる?…そうなったら私は、父からも見捨てられる…それが怖い…」

そこに居たのは、皇太子という仮面を脱ぎ捨てた一人の子供。


必死に愛されたいと叫びたいのを我慢する子供。


この時、アリファエルが、何者か知らないフィラムだったが、アリファエルが抱える悲しみだけは理解できた。


確かに、二人は境遇も、立場も違う。


けれど、共通の感情を二人は持っていた。



淋しさと悲しさ。


親を恋しく思う気持ち。


母親を知らず、父親を知らないフィラム。

母親も、父親も側に居るが、孤独なアリファエル。




「アリー。淋しいんだね……」

フィラムは、自分の頬に伸ばされていた手に、手を重ねて、そう言った。


「私が…淋しい?」
「うん。ボクもね…ばぁちゃんが、死んだ時…ボクを…無償で愛してくれる人が居なくなったって、思った」





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あきゅろす。
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