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BL小説「虜」
二つの優しさ
「それを知った時の私の心境は、まさか、だった…フィラム!」
「は、はい」
「お前は、分かっているのか?あれを想う事の大変さと、あれの背負う重荷が何なのか」

それは静かな問い。

マリアテレーズの瞳には、静かな色と少しの憂いが見えた。

フィラムは、はっきりと、答える。

「…ボク…ボクは覚悟しています。この先、この想いが叶わなくても、構わないって、今なら、お母さんの気持ちが少しだけ、分かります。あの人の側に、ボクは居てはいけない。でも、この想いだけは、ボクのものだから…」

幼い中にも、強い決意を持ったフィラムに、マリアテレーズは。


「ふっ、お前は、どこまでも、祖母と母親に似ているな…」

と、悲しげに笑った。

「お前は、どこまでも、真っ直ぐに愛を貫く気持ちを持っているのだな。だが、この先に待つ運命だけは、ただの人には分からない。本当に、どんな結果でも、後悔しないか?」

その問いに、フィラムは、強い決意を。
「しません!!例え、叶わなくても、構わない!!」
と、口にした。


そんな二人の様子に、置いてけぼり状態だったリグレが口を挟んだ。

「愛か…眩しいな。フィラム」

「あっ、はい」

「私は、愚かで愚鈍な男だ。だから、君にもう想い人が居るなんて、考えても居なかった」
「それは…」
「私は弱い男だが、孫を可愛くないと思うほど、酷い男ではないつもりだ。もし、君が身分というもので、迷って、傷つくというなら、私が守ると誓おう」

穏やかな決意が、そこにはあった。

そんなリグレをマリアテレーズは、信じられないといった顔で見た。

「リグレ様…」




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あきゅろす。
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