BL小説「虜」
剣と鞘と約束と
アレクシアは、フィラムに、向き直り。
「フィラム様」
「へっ?」
「俺の名前は、アレクシア。突然ですが、宣言させて下さい。俺は、あなたを守る剣であり、あなたが行使する力となる者です」
「はぁ、剣…?力…?」
フィラムは、ますます、訳が分からない状態になった。
自分より、年上の者に、いきなり、剣だの力だのと言われて、素直に納得できる者など居やしない。
そんなフィラムに、マリアテレーズは。
「フィラムよ。その者はな…お前の味方だ」
と、言った。
これにより、フィラムは、先ほどよりも、更に訳が分からなくなった。
そんな様子のフィラムに、マリアテレーズは更に。
「はっきり言うが、この国で、お前が真に信用できる相手など、お前の想い人とルース親子、そして、そこのリアーツくらいのものだ」
と、色々と衝撃の発言をした。
「っ!?」
「なっ、マリー!?」
フィラムとリグレが驚いたのは、意味が違った。
フィラムは、マリアテレーズが、アリファエルとの関係を知っている事に驚きを見せ、リグレは信用できる相手に、自分が入っていない事と、まだ幼いフィラムに、想い人が居ると知ったから、声を上げた。
しかし、マリアテレーズは、リグレのそんな様子に。
「リグレ様。あなたは、この子の父親を憎んでいると、口にしたのですよ?孫とはいえ、愛せるのですか?」
と、冷静に返した。
「そ、それは…」
返す言葉もないリグレに、マリアテレーズは更に。
「無理でしょう?あなたは…そんなに器用な方ではない。頭では分かっていても、どうしたって、理性は揺らぐのです。あなたは、あの子を愛せなかった。その愛せなかった者の血を受け継ぐ者を今更、愛せる筈もないのです。故に、この子にとって、あなたは信用できる相手ではない」
と、切り捨てた。
更に、フィラムへ。
「フィラム」
「はっ、はい」
「私は、お前がこれまで、どこで生きて、どこで誰に出会ったか?を知っている」
「えっ?」
「お前を生かしたのは、私だ。お前を守ると、亡き友と、そして、お前の母親と約束した。だから、私は知っているのだよ。お前の想い人の正体もな」
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