BL小説「虜」
悲しみよりも…
突然に現れた自分の祖父と大伯母だという二人からの2つの衝撃的な話に、今のフィラムには、どうすれば良いか?など、分からなかった。
(…アリー。ボク、どうすれば…良いのかな…)
正直、戸惑いがフィラムを支配していた。
物事があまりにも早く動いている。
完全に理解する前から、新たな話をされて、混乱するなというのは、無理な話。
そして、忘れてはいけないフィラムは、同年代に比べて、賢いとはいえ、まだ9才なのだ。
二人に、どう反応すれば良いのだろう?と、フィラムは考えていた。
そんな中。
「マリアテレーズ様、リグレ様。これ以上は、この場で、この方に答えを求められるのは、酷かと」
という声が響いた。
「お前は…」
マリアテレーズは、声の主を見て、少なからず驚いた。
その声の主が、隠れていたアレクシアだったからだ。
マリアテレーズは、小さく笑うと。
「ほぉ、そうか…次期リアーツ当主は、自らの鞘を…己が主を決めたのか」
そう呟いた。
その呟きに対して、アレクシアは、小さく頷く。
突然のアレクシアの登場。
「あっ、えっ?」
訳が分からないのは、フィラムだけ。
リグレは、リアーツという言葉で、大体を把握した。
(リアーツか、マリーの…いや、歴代の太皇太后の懐刀たるリアーツという家に生まれた者達…この少年が、血と謀略に満ちた宮中の闇を新たに担う者…)
リグレは、アレクシアのその瞳の奥に、強さを見た。
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