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BL小説「虜」
3
「初めてだったよ。あの時まで、何をされても、何を言われても、無反応だった君の父親が、拒否の感情を見せた。しかし、私はその反抗を力で押さえ付け、婚姻させた。私に…とって、君の父親は…今でも…、そう今でも、私の憎しみの対象なんだよ…」
「憎しみ…ですか…?」
「あぁ、君の父親は……あの子は……私にとって、耐え難い過去の悲しみを見せつける存在なんだ……」

リグレは、そう言いながら、静かに涙を流した。それは後悔の涙。

「親として、私は失格だ。だが、私には君の父親に、子供を作らせる義務があった。でも、今の君を見ていると、それが果たして、正しかったのか?という疑問を抱く。私は憎しみだけで、動いたのか?と考えてしまうのだ」
苦悶に満ちた顔をするリグレに、フィラムではなく、マリアテレ−ズが答えた。

「リグレ様。あの時のあなたは、何も間違ってはいない。あなたには、次代を繋げるという責務があった。あの子も、それは分かっている」
「マリー…」
「でも、リグレ様。頭で分かっていても、心にある愛は消せない…」

マリアテレーズは、フィラムへ。

「お前は、不義の子。でも、これだけは間違いない。お前はお前の母親がお前の父親に残した最初で最後の証」
と、言った。


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あきゅろす。
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