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BL小説「虜」
真実
「お前の母親は…お前が父親に会うことを望んではいないだろうな」

「えっ?」

「お前は、確かに両親に愛されて生まれてきた。しかし、お前の存在は表には出せぬ…」

「なっ…何故ですか?」

その当然の疑問に、リグレは言った。

「フィラム。君は私の孫。間違いなく、私の息子の子だ。だが、息子は君という存在を認められない…いや、認める事が難しいのだ」

「………」

突然すぎて、言葉をなくすフィラムに、リグレは更に。
「はっきり言うが、息子には、君の他にも…子供が居る」
と、静かに告げた。

「っ!?」
突然の事に、フィラムはショックを受けた。
だが、リグレは更に。
「息子は、正式に妻を迎えた後も、君の母親と愛し合っていた。そして、君が出来たんだ…だが、君の母親は、君を生んですぐに死んだ」
と、言った。
「そ、それは…」

フィラムが何かを言う前に、続けてマリアテレーズは言った。

「フィラム。母親の死はお前の責任ではない。お前の母親は、お前を産まずとも、いずれ死んでいた。お前の母親は余命一年の命だったのだ」

「余命一年…?」
「だから、お前が生まれた」

「どういう事、ですか?…」
「お前の母親と父親は、お互いの立場をよく理解していた。愛だけでは、どうにもならない事があるのだと、分かっていた…しかし、病がお前の母親を襲った時、二人は考えを変えた」

不安に揺れるフィラムを前にして、マリアテレーズは隠されていた真実を告げる。


「お前の母親は…生まれた時から、死を予言されていたのだ」

「…予言?」

「あぁ、この国には、星詠みと呼ばれる存在が居る。彼等は、星の声を聞き、未来を紡ぐ。予言は絶対ではないが、お前の祖母は、最高位の星詠みだった。彼の予言は九分九厘外れない。そんな彼は愛しい我が子の死を星から聞いた。星詠みは、星から愛されていると、彼はよく言っていた」


フィラムを見ていて、マリアテレーズは、亡き友を思い出した。


(ユリエス…)


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あきゅろす。
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