BL小説「虜」
3
フィラムは、ますます混乱し。
(はぇ?…何がどうなってんの?)
となり。
リアテレーズは。
(本当に、困った方…)
と、思った。
そして、ここで空気を変える為に、マリアテレーズは。
「…皆、下がれ」
と、冷たく言い放つ。
これには、バルドルも反対の意見を口にしようとした。
だが、先ほどとは違う絶対的な冷たさを放つマリアテレーズに、恐怖を抱き声を出せなかった。
「二度は言わぬ…。私が誰だか、忘れたか?」
「っ…わ、分かりました…」
気を張った所で所詮は、執事。
本気を出したマリアテレーズに、勝てるわけはない。
これが、主のクロス公ならば、下がる事もなかっただろうが、バルドルは自分を知っている。
後ろ髪を引かれる形ではあったが、下がる事を決めた。
バルドルが、完全に去るのを確認すると、マリアテレーズは言った。
「お前がフィラム…貴いか、アレの好きな言葉だな…」
「えっ?」
戸惑うフィラムに、マリアテレーズは、更に言う。
「お前は、母親似だ…、その色こそ、父親に似たがな」
「ボ、ボクの両親を…し、知っているんですか?」
その当然の問に、マリアテレーズではなく、リグレが答えた。
「あぁ、知っている。私は…君の祖父、そして、彼女は義理の曾祖母であり、君の大伯母でもある」
「っ…!?あ、えっ?」
そんな突然の言葉に、フィラムは今日一番の驚きを抱いた。
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