BL小説「虜」
2
今、フィラムは訳が分からなかった。
いきなり、綺麗な女性と年配の男性が何も喋らずに、黙って自分を見ているのだ。
混乱するなというのが、無理な話。
一方、マリアテレーズとリグレは好きで黙っていたのではない。
フィラムの花がほころぶ様な幼い美を前にして、何を言って良いか?と、考えていたのだ。
フィラムはリグレにとっては、孫であり、マリアテレーズにとっては、甥の子。
確かな血の繋がりが、そこにはあった。
誰もが喋ることが出来なかった時、突風が吹いた。
「うわぁ」
「っ…」
「おっと…」
その瞬間、マリアテレーズの髪紐がほどけた。
サラサラと流れる銀髪。
それを見て、思わず。
「キレイな髪だなぁ〜…」
と、フィラムが呟く。
それに対して、マリアテレーズは。
「何を言う?そなたの銀髪も、美しいぞ」
と、返した。
「えっ?」
続いて、リグレも。
「私からしたら、君たち二人とも、美しいと思うがね」
と、言った。
その瞬間、空気が変わった。
着いてきていたバルドルは、どう反応して良いか?と悩み。
言われた方のフィラムとマリアテレーズは互いに。
((えっ?今、何を言われた?))
と、思ってしまった。
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