BL小説「虜」
渇望してしまう
大人達の様々な思惑など知らないフィラムは庭で、花を見ていた。
「本当に、綺麗だなぁ〜」
様々な花々に囲まれるフィラム。
サラサラと、風に長い髪が揺れる。
「今日は、風が強いなぁ」
その姿を見つめる一つの影。
それは人知れずに、ルース邸へと侵入していたアレクシア。
カレンディラに用があるふりをして屋敷に上がり込む計画は、当のカレンディラが屋敷に居ない為に、口実にならなかった。
(あの方が陛下の…)
幼さの中に、見え始めている美を見て。
その危うさに、アレクシアは、固まる。
(ヤバい…)
心から、守りたい!!。
そうアレクシアは、思ってしまった。
一目見ただけで、囚われた。
(これが…リアーツの業…)
「真の主に出会えば、すぐに分かる」
それが、母の口癖。
前まで、信半疑だったその言葉も、今なら分かる。
(あの方こそ、リアーツである俺が生涯をかけて守る方だっ!!)
アレクシアが、そう強く決めた時、辺りが騒がしくなった。
(えっ?)
アレクシアにしたら、有り得ない組み合わせの二人が、フィラムの方へ歩いてくる姿が見えた。
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