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BL小説「虜」
決意
フィラムがガーメイルへ来ている事など、知る由もないアリファエルは、自習の手を止めて、フィラムを想った。




(フィラム。まだ私は、君を呼び寄せるだけの力もない男だ。だが…、待っていてくれ、必ず君をこの腕の中に、抱き止められるだけのそんな男になる)



会えない二年という時間が、想いを募らせた。



そして、誰よりも強くあらねばと、アリファエルは思った。



自分という存在は、フィラムという愛しい存在に、出会ってしまった。


この気持ちを知らなかった頃になんて、戻れないし、戻れたとしても、戻りたくはない。



、亡き母のような悲しい存在を作らないと、そして、もしも、フィラムと一緒になれないとしたら、アリファエルは生涯、誰も愛さないと、強く心に決めている。


夫からの愛を欲して、毒になる妻など、最初から要らない。


アリファエルという人間の子供を産むのは、フィラムただ一人と、決めている。


それが叶わず、世継ぎが必要ならば、皇室に連なる幾つかの血筋から選べば良い。


そう考えを固めていた。
(私は、父上より強くありたい。この想いだけは、貫きたい)


(死者を愛しているが故に、父上は娶った妻を愛せず、僅かとはいえ、この国を混乱させた。当時、父上が母上との結婚を拒む事が出来なかったのは、よく分かる。父上は、立場の弱い世継ぎだった…、母上のいや、お祖父様の後ろ盾が必要だったのだ)


父帝に疎まれた孤独な皇子が覇者となるには、力が必要だった。


(父上が弱いとは言わぬ。いや…、言えるはずはない!!人を愛する気持ちを知った私には、父上を笑えぬ)


アリファエルは、この二年で、クロスから、父である皇帝の想い人の身分や人となりを聞いていた。



(父上の愛する方は、星詠みセルネス…次期皇帝が妻として、とても望める方ではない。だが、愛は止められない。父上、あなたは、凄い人だ)



二年という時間は、アリファエルを良い方に変えた。


彼は、強くなった。


それは、身体がではない。


心が強くなったのだ。




(だからこそ、私は父上より、もっと強くありたい、フィラム。何者からも、君を守れるようになる)


それは鋼の決意。


恋が、愛が人を強くした。





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