[携帯モード] [URL送信]

BL小説「虜」
その行動と思い
元々、持ってきた荷物も少なかったフィラムは、与えられた部屋に少ない荷物を置くと、やることがなくなっていた。


「うーん」

クロスからは、好きに過ごせば良いと言われた。


だが、好きにしろと言われても、根が庶民であるフィラムには、何もする事がないのは、退屈だ。


「あっ!」

そんな中、窓から見えた景色に、フィラムは、目を奪われた。


「綺麗だなぁ」

フィラムは窓辺に近づく。


窓の下には、綺麗な庭園があった。




「そうだ!」

何かを思ったのか、フィラムは、部屋から出た。










フィラムが向かったのは、クロスの所だった。



クロスは、フィラムに笑いかけた。

「フィラム様。どうされました?」

「あの、お庭に出ても良いですか?」

「庭ですか?」

「ダメですか?」

残念そうな顔で、そう聞いてくるフィラムに、クロスは、笑みを深めて答えた。

「いえ、良いですよ。この館では、フィラム様の好きなように、お過ごしください」

すると。
「ありがとうございます!」

フィラムは途端に、パッと花が咲いたように笑った後、頭を下げて、部屋から出て行った。



そんなフィラムの後ろ姿に、クロスは。


(カーツ…)

と、故人を思い出していた。


(フィラム様の太陽のような笑みを見ていると、カーツ。お前の母上が、どれだけあの方を愛してくれたか、分かる気がする。いくら感謝をしても、足りないくらいだ。だが、今も言おう。ありがとう…お前がフィラム様を逃がしてくれたから、今がある。本当に、ありがとう)





[*前へ][次へ#]

8/23ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!