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BL小説「虜」
アレクシアの初めて知る事
「陛下の隠し子様…、その方をお産みになられたのは…この母が剣を捧げた唯一の方だ」

「っ!?」

「あの方が、陛下のお子を産んだ事、そのお子を俺ではなく、別の者が逃がした事…全てが真実だ。陛下には、アリファエル殿下以外にも、お子が居るという重要な事実は、あまり人には知られてはいない」

憂いを浮かべるセネガルに、アレクシアは戸惑う。

語られている内容も、驚きではあるが普段、冷静な母親の姿しか知らないアレクシアは、母親のそんな姿に、どうすればいいか、分からなかった。

「か、母さん」

「アレクシア」

「あっ、はい」

「この国では、腹違いであれば、兄弟であろうと、婚姻は可能だ。リアーツとしては、見極めなければならない。お子が我等が剣を捧げるに値する方かどうかを…」

「我等が仕えるに、値する方かどうか?」

「あぁ、そうだ。我等は、剣。なれど、今は主なき剣だ。鞘がなくば、剣は錆びる」


リアーツにとって、それはとても、重要な事。


14才のアレクシアは、主なき剣。

母セネガルの様に、命を懸けられるお方に、巡りあえてはいない。


だが、皇帝陛下の隠し子様の件で、胸がざわめくのをアレクシアは、感じていた。




「母さん。その方、隠し子様が我等が剣を捧げるに、相応しい方かどうか、誰が判断するの?」

その当然の疑問に、セネガルは。

「……お前だよ。アレクシア」

と、言った。

「えっ?」

「見極めるのは、俺ではない。それをするのは、次期当主であるお前の役目だ」




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