BL小説「虜」
それは驚き
フィラム達が、ガーメイル帝国の首都に着いた頃、セネガルはある手紙を手にしていた。
「………」
手紙を見て、沈黙する母セネガルに、同じ部屋にいた息子であるアレクシアは。
「ねぇねぇ、母さん。何、一人で考えてんの?」
と、声をかけた。
すると。
「あぁ…見るか?」
と言うや、セネガルは手紙をアレクシア渡した。
「ふんふん…ん?……えっ?……」
アレクシアは、渡された手紙を見ながら、その内容と差出人に驚いた。
「母さん」
「何だ?」
「これって…マジな話?」
アレクシアの戸惑いに満ちた声音に、セネガルは笑いながら、答えた。
「真実だ。あの人が嘘を書く事はない」
「…あぁ、そーなんだ」
アレクシアは、心の中で。
(母さんのあの人に対する信頼って、スゴいよなぁ。でも、これは嘘じゃないとしたら、ヤバくね?っか、これって、かなり重要な話だよな?)
と、思った。
その手紙の内容は以下のとおり。
《まず最初に、伝えておく、皇帝の隠し子が皇太子の想い人であるとの情報が入っていたが、今まで、お前には、伝えていなかった。そして、隠し子の件、前帝の耳に入っていたようだ。件の隠し子も、どういった経緯かは分からないが、ルース公爵と共に、ガーメイルへ到着した。リアーツとして、見極めよ。隠し子が皇太子妃として、相応しいかどうかを》
手紙に名前は無かったが、代わりに、ある紋章が刻まれていた。
それは、剣に絡み付く赤い薔薇の紋章。
それこそが、誰あろう太皇太后マリアテレーズの印だ。
「ねぇ、母さん。皇帝陛下に隠し子様が居るならさ、何で今まで、俺がそれを知らなかったの?太皇太后様は、この隠し子様を皇太子妃様にするんでしょ?なら、剣が存在を知らないなんて、許されない」
「………」
アレクシアの問いかけに、セネガルは沈黙する。
「母さんっ!!」
「…そうだな。お前も、もう14だ。知っていい頃だろう」
セネガルは、語りだした。
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