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BL小説「虜」
2
(あの女の目…あれは蔑みの目だった)



庶子達とその母親達は、テンバール公達とは、住む場所も勿論、違っていた。

ただやはり、庶子達とはいえ、貴族の子供を警備のしっかりしていない場所に出す訳にはいかず、テンバール公の屋敷のある敷地の隅に、小さな館を住む場所として、与えられていた。



その館へアデリアーデは、たまに足を運ぶ時があった。

表向きは、腹違いの兄弟や姉妹の事を心配する正妻の娘という立場だった。
だが、庶子達も、その母親達も、身をもって知っていた。

(あの女の優しさは、うわべだけだった)


アデリアーデという女は品行方正で、立派な娘を演じていたのだ。



だが、人の居ない場での庶子達や、その母親に向ける蔑みの眼差しだけは、隠せなかった。

いや、隠さなかった。


幼かったハービィも、アデリアーデのその視線の意味をおぼろ気だが、分かっていた。


(俺達が何も、言えないのをあの女は、分かっていたんだ)





だが、ハービィは何故、自分達が館から着の身着のままで追い出されたかを知らない。


しかし、リーフ国で下働きとして、働くようになり、しばらく経った頃から、ハービィは色々な情報を得た。



異母姉アデリアーデが、大国ガーメイル帝国の皇太子妃となっていた事も、皇妃になった事も、子供を産んだ事も、知った。


そして、二年前に突然、死んだという事も、知っていた。






(あの女の産んだ子供…)


自分の甥であるその子供。



(なんで、神様ってやつは、あんな出会いをさせたんだろうな)








馬車は進む。


ハービィの心配、フィラムの不安、カレンディラの優しさ、クロスの思い。

四人を乗せて、馬車は進む。






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あきゅろす。
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