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BL小説「虜」
見たこともない世界、初めての体験と心配と
リーフから出たことの無かったフィラムは、ガーメイル帝国へ着いた時、その街の規模に、とても驚いた。


リーフ国は、言ってしまえば、田舎にある自然と特殊な薬が有名なだけの国。
国土も国力も、ガーメイルとは雲泥の差だ。

フィラムも、休みの日に、町に降りていたとはいえ、大国ガーメイルとリーフでは比較にもならない。



馬車から町並みを眺めながら、フィラムは。


「す、すごい!」

と、少し興奮していた。

そんなフィラムに、カレンディラは、クスクスと笑いながら、言った。


「フィラム。落ち着いて」

「ご、ごめん」

子供過ぎた自分に、照れるフィラムに、カレンディラは、更に笑みを深めた。



愛娘とフィラムのやり取りに、クロスも笑みを浮かべていた。


(フィルデガルド様…、見えますか?貴方様の愛し子は、健やかにお育ちですよ)









だが、御者席に座るハービィだけは、複雑な心境だった。



(フィラム。まだお前は今から、どこへ行くのか分かっていない。俺の記憶が確かなら、ただの貴族じゃないだぞ?…分かってる。あんな女が、貴族にたくさん居る訳じゃないのは、分かってるんだ…でも、本当に俺はお前に、傷付いて欲しくない…)



異母姉アデリアーデの陰湿な行動には、他の庶子達も頭を悩ませていた。


物分かりの良い優しい娘であり姉。


そんな仮面をアデリアーデは、被っていた。





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