BL小説「虜」 〜無関心という名の猛毒〜 クロスとバイスはゼルフィードが、もっとも信頼する友である。 彼等は、皇帝の盾と剣となるべき者。 一時期は父帝から、世継ぎとして認めないと言われていたゼルフィード。 そんな彼とバイスとクロスの二人と友になれたのは、またしてもマリアテレーズのある言葉からだった。 義母マリアテレーズの産んだ弟を世継ぎとしたい父帝と、そんな事に興味の無かったマリアテレーズの間には度々、意見の相違があった。 当時皇太后であったマリアテレーズは、既に皇帝に匹敵する程の権力を得ていた。 だからこそ、今以上の権力には、興味が無かったのだろう。 皇太后となるまでは、様々な事をしてきたが、父帝が皇位を継ぎ、自身が皇太后となってからは、与えられた離宮で、のんびりと過ごしていた。 マリアテレーズにとって、今の方が都合が良いのだ。 何故、都合が良いのか?。 確かに、我が子が皇帝となれば、今以上の力を持てるだろう。 しかし、それに比例して、マリアテレーズに対する恨みも増える。 それは、マリアテレーズにとって、煩わしいだけなのだ。 我が子が皇帝になるというのは、確かに魅力的だ。 普通ならば、積極的に動くだろう、 だが、マリアテレーズは普通とは違う。 それに、マリアテレーズを恨んでいるその筆頭は、誰あろうゼルフィードの母であるシュレーナである。 [*前へ][次へ#] [戻る] |