BL小説「虜」 3 迷うフィルデガルドへカーツは言った。 「フィル様。任せてください。必ず、守りますから」 その真剣な眼差しに、フィルデガルドは、心を決めた。 フィルデガルドは、我が子を守る為に、カーツの提案に乗ったのだ。 クロスは、これからの事を考えていた。 (今はまだ良い。だが、フィラム様には、お父上の事をいつかは話さなければならないだろう) フィラムの父親は妻帯者でありながら、本当の愛を捨てる事ができなかった。 その名は、ゼルフィード。 その正体は、ガーメイル帝国皇帝ゼルフィード・ドア・ガーメイル。 (陛下。もう9年が経ちましたな) クロスは、心の中で自らの主を思った。 死者を愛し、生きた屍となって、9年。 今の皇帝は、皇太子を立派な統治者にする為に、生きている。 [*前へ][次へ#] [戻る] |